四柱推命相性

彼氏は親戚の集まりに出席するため、私は一人で週末を過ごすことになった。

付き合い始めたばかりで残念だったけど、付き合い始める前から決まっていた予定だったので仕方がなかった。

だんだん寒くなってきて、次はどこでデートしようかと検索しながら時間を過ごしていたところ

地方にいる彼氏からメッセージが届いた。

親戚の弟が独学で四柱推命を少し見れるようになって、相性をみてくれるというので、生年月日時を教えてくれないかという内容だった。

彼氏の母親は時々四柱推命を見てもらっているという話を何度か聞いたことがあった。

仕事がうまくいかなかったから彼氏の名前の漢字を変えたとか、そういう類の話だったけど

「あ、四柱推命を結構信じてるんだな」と思った。

「悪いことが出てきても全部教えてくれるんでしょ？教えてくれないならやめておくね。」

「え、もちろん全部教えるよ。」

それからどれくらい経っただろうか。夜遅くに電話がかかってきた。

すでに少しお酒を飲んでいるのか、舌が少し回っていなかったけど、酔っ払っているようには聞こえなかった。

「ごめんね、ちょっとうるさいかな？」

「親戚と久しぶりに会うって言ってましたよね。楽しんでますか？」

「うん、みんな久しぶりだからね。次は結婚式で会おうって話になったよ。」

「そうなんだ？」

「みんな喜んでくれたよ。」

「じゃあ、さっき聞いた相性はどうだったの？」

「あ、そうそう。大きな問題はないいい相性だって。20代はすごく大変だったみたいだけど、今は順風満帆だって。」

「悪いことがないならよかったね。」

「もしかして義理の兄とか家族の大人で海外で働いている人いる？」

「いや？いないけど。」

「そうなんだ？」

「私の四柱推命を見てもらったの？相性を見てもらったんでしょ？」

「あ、それは顔を見て直接言うよ。へへ」

家族の集まりで写真も見せて自慢して、楽しい時間を過ごしているようだった。

付き合い始めてまだ1週間しか経っていないのに、ちょっと早すぎるんじゃないかと感じることはあったけど、そんなに喜んでいるならと、何も言わなかった。

でも、電話が長引くにつれて、彼は酔っぱらって、ずっと不満に思っていたことをぶちまけてきた。

俺は毎日愛してるって言うのに、なんで君は言わないんだ。お酒のせいだからごめんね、でも愛してる。

壊れた機械のように繰り返す彼をなだめ、その日の夜はなかなか眠れなかった。

でも、おかしいと感じたのは、次のデートの時だった。

「なんで言わないの？」

「何の話？」

「いとこが相性を見てもらったって言ってましたよね。会ったら教えてくれるって。」

「あ〜、それね。特に何もなかったよ。」

「なんで？何か悪いの？」

「いや、全部いいって言ってたよ。」

彼は嘘が下手だったし、私は勘が鋭かった。

「彼氏、何かあるみたい。」

「なんで？」

「先週、親戚の集まりに行ってから1回会ったよね。それに昨日は友達と予定していた旅行に出かけたみたいだし。」

「今週も予定があったんだ。」

「金曜日に行く前からちょっと気になってたんだけど、トークのプロフィールとか全部消して、ちょっと避けている感じもするし。」

「急に？」

「うん。わからない。周りから『おせっかいすぎる』って怒られてるのかもしれない。うつ病になるって言われてため息ついてたけど。」

「えー、なんて人。」

毎日、毎時間メッセージを送っていた彼は、嘘のように連絡が途絶えた。

何かあったのかと聞いても、言葉で説明できない、心が空っぽで何もしたくないというのが彼の唯一の返事だった。

何もなかったし、私と関係のあることでもないんだって。

訳が分からず、とりあえずそのままにしてみようと思った。彼が話したいと思ったら、きっと先に話してくれるだろうと思って。

元来、男が洞窟に入る時は、追いかけずに出るまで待つものだって言われているし。

そうして数日が過ぎた。

週末の夜11時を過ぎた頃。

たまたまテレビを見ながら、母親と彼氏の音信不通について話していたところ、彼から突然電話がかかってきた。

「もしもし？」

「あ、すみません。彼の友達のXXXです。」

前に聞いたことがある。中学時代からずっと一緒にいる友達がいるって。

「はい、聞いたことあります。こんにちは。」

「今日、このヤツと会う約束をしてて会ったんだけど、今、このヤツが酔っぱらってて。」

「酔っぱらってるって？」

「10年以上見てきたけど、こんな姿は初めてなんだよ。

完全に潰れてて、意識がもうろうとしてて、俺が家に連れて帰るわけにもいかなくて。」

「完全に意識がもうろうとしてるんですか？」

「うん。何かあったのかな？」

「私も知りたいわ。一体何が起きたのか。」

「ちょっと、迎えに来てくれないかな？」

私は彼の正確な住所も知らないのに、タクシーに乗って1時間もかけて行っても、何の役にも立たなかった。

「携帯電話に姉か義兄がいるか探して電話かけてくれない？私も今、行けない状況だし、彼氏も両親と住んでるから。両親に電話するのも違うし。

代わりに、姉がすぐ近くに住んでるって聞いたから、電話して頼まないとダメだと思う。

それと、申し訳ないけど心配だから、状況がわかったら、メッセージでもいいから教えてください。」

しかし、それ以降連絡はなく、私は寝ずに夜を明かした。

いくら考えても、疑わしいのはただ一つだけだった。

親戚の集まりで、いとこの弟が見てもらったという、二人の四柱推命相性。

頭の中で色々なシナリオを描いてみた。

1. お互いに最悪の相性だった。

2. 二人が出会うと男側に問題が起こる相性だった。

3. 二人が出会うと女側に問題が起こる相性だった。

その中で、女側に言えないような状況だとしたら、1番か2番の可能性が高い。一体何と言われたんだろう。こんなことになるなんて。

たまたま知り合いから教えてもらった、評判の良い四柱推命のカフェを、次の日に予約して訪れた。

私と彼氏の四柱推命を伝え、二人の恋愛について見てほしいと頼んだ。

「彼氏、離婚してないって？」

「離婚？私にわざと嘘をついているのでなければ、私が知る限り結婚したことはないはずです。」

「この四柱推命はね、結婚するのがめちゃくちゃ難しいのよ。こういう人は、親が連れてきても、本人が嫌なら絶対に結婚しないから、親としては頭が痛いでしょう。」

「本人は、自分が気に入らないと人は会わないって言ってましたよ。」

「とにかく、四柱推命自体が結婚するのが難しいので、誰を連れてきても、その家では歓迎される状況よ。」

「二人の相性はどうですか？お互いに良くないとか、そういう感じですか？」

「正直、私はあなたの方がもったいないと思うわ。別に悪いことはないんだけど。あ…、この男性にはもったいないんだけどね。」

「もったいない以外に悪いところはありますか？」

「今、二人の四柱推命を持ってどこに行っても、男の方が女を絶対に手放したくない状況よ。」

こんな四柱推命なら、彼氏の行動がますます理解できなかった。

でも、独学で勉強したいとこの弟が、違うことを言っていたら？

「そうね、家柄によっては四柱推命とかをすごく信じることもあるわよね。ありえるわよね。

でも、専門家でもないいとこが独学で少し勉強しただけで、悪いと言われたとして。

私だったら、お母さんに頼んででも、腕の良い占い師を探して行くわ。そして、本当に悪いのか確認するわ。

悪いって言われたら、別のところに行って確認する。少なくとも、そういう確認くらいはしないとダメじゃない？」

私は親友に泣きついて、ひたすら愚痴をこぼした。

一つ一つが信じられないような状況だけど、一番がっかりしたのは彼の危機管理能力だった。

こんな危機にすら、ガラスのように心が砕けて、お酒ばかり飲んで何もできないような男なら

「捨てなきゃ、そんな人間なら。」

会社で、一年で一番忙しいシーズンだった。

踏んだり蹴ったりだな、と諦めようとしても、ふとした瞬間に腹立たしくて、怒りが込み上げてきた。

まさか、同僚に状況を全部打ち明けて、私が変なことをしても理解してほしいと、まで頼むほどだった。

モヤモヤした気持ちで、仲介してくれた人に状況をちょっと調べてほしいと頼んだ。

「その家では全く気づいてないみたいで、最近、どうして彼女と会わないのか気になっているみたいだよ。」

「そうなんだ？」

「聞いてみると、ちょっとおかしいヤツみたいだね。連絡を切ってしまえ。」

毎日、感情のジェットコースターに乗っていた私は、ついに最後通牒を突きつけた。

付き合い始めたばかりなのに、この状況はちょっとおかしい。もう会う気はないとみなしていいのでしょうか？

半日後、彼の返事は、「ごめん、別れてくれ」と一言だった。

あ…、私、今年は厄年なのかな？