- <結婚情報会社へようこそ> 本当の結婚は可能なのか?[8]
- 外見は重要ではないと思っていましたが、実は外見をかなり重視する人間だったことに気づいた話です。特に身長以外の外見要素を重要視していると述べています。
運命
紹介(しょうかい)合コンの公式(こうしき)成功率(せいこうりつ)は2%だと言われる。
極悪非道(ごくあくひどう)な成功率(せいこうりつ)の背景(はいけい)には、第一印象(だいいんしょう)の効果(こうか)がある。
人が初めて会って3秒以内に感じる第一印象(だいいんしょう)は、思っている以上に長く記憶(きおく)に残るのだ。
イケメンや美人でなくても、きちんと身だしなみを整えて、清潔感(せいけつかん)があって、良いスタイルの人は有利(ゆうり)だ。
「こんにちは」と挨拶(あいさつ)を交わすその短い一瞬(いっしゅん)のイメージが、思っている以上に重要(じゅうよう)なのだ。
今、目の前に座っている男性も、第一印象(だいいんしょう)は悪くなかった。
恋愛(れんあい)を終えてから2年という歳月(さいげつ)が流れ、私はまだ独身(どくしん)だった。
仕事(しごと)が忙しく、恋愛(れんあい)よりも重要なことがたくさんあった。だから、それほど寂しく(さびしく)なかった。
「今年(ことし)は何歳(なんさい)?」
親しい(しんしい)お姉さん(あねさん)から突然(とつぜん)電話(でんわ)がかかってきて、年齢(ねんれい)を聞かれた。
「36歳(さんじゅうろくさい)。急に年齢(ねんれい)はなんで?」
「知り合い(しりあい)の人が、周りに良いお嬢さん(おじょうさん)いないかって聞いてて、急にあなたの事がパッと頭に浮かんだの。あなたと同年(どうねん)らしいわ。
会社員(かいしゃいん)じゃなくて、お父さんの事業(じぎょう)を手伝ってるみたいだけど、その家が裕福(ゆうふく)らしいよ。」
断る理由(ことわるりゆう)はなかった。
30代半ば(だいはんば)を過ぎて、男性(だんせい)が年下(としした)ではなく同年(どうねん)と付き合ってみようと思うことは、珍しいことだったから。
きちんと感のあるセミカジュアルな服装(ふくそう)で現れた彼(かれ)の第一印象(だいいんしょう)は、十分(じゅうぶん)に魅力的(みりょくてき)だった。
彼(かれ)は私(わたし)と違う点(てん)も多かったし、似ている点(てん)も多かったけど、会う度に感じたのは『大きな欠点(けってん)がない』ということだった。
欠点探し(けってんさがし)に必死(ひっし)だった私のレーダー網(もう)にかかってこなかったということは、ものすごくすごいことだった。
考えすぎて失敗(しっぱい)を重ねてきた過去の恋愛(れんあい)を思い出した。
悩まず(なやまず)に、ゆっくりと付き合ってみよう。
そうして何度かデートを重ね(かさね)、ある日一緒に映画館(えいがかん)に行った。
キオスクの機械(きかい)でチケットを取ると、誕生日クーポン(たんじょうびクーポン)が一緒に印刷(いんさつ)されるではないか。
「誕生日(たんじょうび)だったんですか!?」
「実は来週(らいしゅう)が誕生日(たんじょうび)なんです。会って間もないので、誕生日(たんじょうび)だと伝えるのがちょっと気が引けて言わなかったんですけど、こんな風に公表(こうひょう)することになるとは思わなかったですね。」
「いつ聞こうかなと思ってたんですけど」
「誕生日(たんじょうび)はいつですか?」
「私(わたし)ですか?私は旧暦(きゅうれき)で祝うんですけど、今年はいつだっけ。」
携帯電話(けいたいでんわ)の予定表(よていひょう)を見ていた彼が、突然(とつぜん)一言(ひとこと)叫び(さけ)び、興奮(こうふん)した。
「あれ?今年(ことし)の誕生日(たんじょうび)、同じ日付(ひづけ)ですよ!」
「本当(ほんとう)ですか?」
「本当(ほんとう)ですよ、見てください。不思議(ふしぎ)ですよね?」
「こんな偶然(ぐうぜん)があるんですね。」
썸(サム)を経験(けいけん)すると、空気(くうき)を読む能力(のうりょく)が身につく。この썸(サム)はダメだ、もしくは近いうちに告白(こくはく)があるだろう、といった。
断言(だんげん)できますが、今回は告白(こくはく)角(かく)でした。
1週間後(しゅうかんご)の誕生日(たんじょうび)当日(とうじつ)、私たちはそれぞれ家族(かぞく)と時間を過ごし、夕方に会うことにした。
日が暮れ始めた頃(ころ)、家まで迎えに来てくれた彼は、初めてスーツを着て花束(はなたば)をくれた。
「それで、私たちはどこに行くんですか?」
「秘密(ひみつ)です。」
車が止まった場所は、東京(とうきょう)の63ビル。彼は私の手を握り(にぎ)り、エレベーターに向かった。
まさかと思っていたシナリオが、目の前で展開(てんかい)していた。
私の人生(じんせい)で、こんな高層(こうそう)の高級(こうきゅう)レストランで夜景(やけい)を見ながら食事(しょくじ)をすることになるとは。
ここだけでも感動(かんどう)と感謝(かんしゃ)でどうしたら良いか分からなかったのに、デザートに小さな光るプレゼントまで差し出した。
「指輪(ゆびわ)を贈りたかったんですけど、それはちょっと負担(ふたん)が大きすぎるかなと思って。受け取ってくれますか?」
これは反則(はんそく)だ。私がプレゼント代わりに選んだスターバックスのカードが恥ずかしい(はずかしい)状態(じょうたい)だった。
こうなると思っていれば、デパートにでも行っておけばよかったのに。
「僕(ぼく)と付き合ってください。」
ドラマでしか見たことのないシーンが目の前で繰り広げられているのに、何を迷(まよ)うの。食べられなくても、ゴダ。
彼は運命(うんめい)だと言った。
お母さんが紹介(しょうかい)してくれる出会い(であい)は、頑固(がんこ)に拒否(きょひ)していたのに、今回はとりあえず行ってみようと思ったらしい。
行ってみたら、理想(りそう)のタイプが現れて、息が詰まりそうになったらしい。
ところが誕生日(たんじょうび)まで同じ日(ひ)なんて、これが運命(うんめい)じゃなければ説明(せつめい)のしようがないって。
燃え上がるような熱さ(あつさ)はないけれど、温かいときめき(ときめき)があった。これも愛(あい)なのかなと思った。
花束(はなたば)を持って家に帰ってきたその日(ひ)、家族(かぞく)はとうとう末娘(すえむすめ)が結婚(けっこん)する!と歓声(かんせい)を上げた。
「丈母(ちょうぼ)様(さま)、来年(らいねん)春(はる)には良い知らせ(よいしらせ)があるんじゃないですか?」
私の恋愛話(れんあいばなし)に姉(あね)と兄嫁(あによめ)がさらに興奮(こうふん)して、両親(りょうしん)まで巻き込んで大騒ぎ(おおさわぎ)になった。
私(わたし)、本当に結婚(けっこん)するの?
ウェルカムトゥ 結婚情報会社
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